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佐藤 達彦; 浜田 信行*; 熊田 博明*; 長谷川 純崇*; 坂下 哲哉*
no journal, ,
RI内用療法やホウ素中性子捕捉療法(BNCT)の生物学的効果比(RBE)を計算するため、重粒子線治療など外部照射用に開発した細胞生存率評価モデルであるDSMKモデルを内部照射にも適用できるよう改良した。改良したDSMKモデルを用いて、I-131及びRa-224が細胞核、細胞質、細胞外に局在した場合の細胞生存率をそれぞれ計算し、外部X線照射に対する細胞生存率と比較した。その結果、10%生存率を指標としたRBEは、薬剤が細胞核に取り込まれた方が細胞質や細胞質に分布する場合に比べて、I-131では1.6倍、Ra-224では4.8倍程度高くなることが分かった。この結果は、細胞核内に取り込まれやすい薬剤を創ればRI内用療法やBNCTの治療効果が高まることを定量的に示唆している。
永井 晴康; 寺田 宏明; 都築 克紀; 堅田 元喜; 太田 雅和; 古野 朗子; 門脇 正尚; 朱里 秀作*
no journal, ,
東京電力福島第一原子力発電所の事故時に放出された放射性物質による住民の被ばく線量について、現時点では実測に基づく評価が困難な事故初期段階における被ばく線量を詳細に評価するために、計算シミュレーションにより放射性物質の時間空間分布を再構築する。まず、既存の放出源推定結果を調査した結果、JAEAの最新の放出源再推定結果がサイト周辺のモニタリング結果を良好に再現し有効と考えられたため、この放出源情報のさらなる精緻化を進めることとした。大気拡散シミュレーションについては、最新の気象モデルWRF及び高度なデータ同化手法を導入するとともに、大気拡散モデルに精緻な沈着過程を導入し、放射性物質の大気拡散及び沈着状況の再現性向上のための改良を行った。次に、大気拡散シミュレーションを実行し、積算地表沈着量の観測値との比較により再現性の評価を行った。また、データベースの計算手法及び解析手法を試作し、放射性物質大気濃度・沈着量の時間空間分布データベースの基本版を構築した。今後、放出源情報及び拡散計算を最適化し、データベースを完成する予定である。
木名瀬 栄; 高橋 知之*; 安藤 真樹; 三上 智; 山本 英明; 斎藤 公明
no journal, ,
本研究では、これからの福島復興に資するよう、これまでに開発した周辺線量当量率の予測モデルを用いて、福島第一原子力発電所事故後30年までの周辺線量当量率分布を予測した。セシウム137の物理的半減期に相当する30年を目処に、事故発生30年後の福島第一原子力発電所から80km圏内の周辺線量当量率分布を作図した結果、事故30年後の年間20mSv(3.8Sv/h)を超えるエリアは、事故5年後に較べ、約20分の1程度に減少することが示唆された。
石森 有
no journal, ,
日本の屋内ラドン濃度は北欧諸国の1/5程度の平均濃度(約6Bq/m、Sanada et al., 1999)であり、屋内ラドンに係る規制は我が国に導入されていない。仮に北米や欧州諸国のように100-200Bq/m程度で規制を行ったとしても、肺がん低減にはほとんど貢献せず、政策効果に乏しい。なお、「ラドンによる被ばく」とはラドン自体ではなく、子孫核種に起因する肺での内部被ばくである。このため、ラドンの体内での分布について、あまり多くのデータがあるわけではない。Nussburm & Hursh(1957)のデータが現在でも広く利用されてきたが、最近我々はマウスでラドンの分配係数(組織/血液)を得た。我々の実験系でラドン2000Bq/mで24時間曝露した場合の吸収線量は、肺に対して1Gy、他の臓器に対して0.1Gyのオーダーである。このレベルでのラドン吸入による抗酸化酵素の活性化は、細胞・分子レベルでの局所的なエネルギー付与が貢献していると考えている。このような生体反応をいわゆる直線モデルと比較して議論するには、線量-反応関係として提示する必要がある。